【後編】組織もやもや解消メカニズムの話
前編ではどのように組織のもやもやがたまるのかをお話しました。もやもやをためないためには、関係性の質を高めることが成果の質につながるよ、というお話ですね。その背景は、関係性の改善によりチーム学習が進み、チームの考えを通じて個人の思考・行動の変化に影響するというものでした。
そうは言っても、組織で働いていると、もやもやが生まれることもありますよね。「ちょっともやもやするなぁ」から「このまま放置するのは良くない雰囲気だぞ」となり、「このチームで仕事をするのはをしんどい」という感じです。もやもやしたまま仕事をし続けるのは健全ではありませんので、今回は「もや指数」低・中・高に応じた解消法を紹介します。
もや指数(低)
状況
新しいメンバーが加わったときなど、初期の関係性構築をする場合
その時の感情
ドキドキ、ワクワクするけどちょっと不安
課題
どんな人かわからないので、お互い様子見になってしまう
手法
ドラッカー風エクササイズ
「なぜ、自分はここにいるのか」「自分の強み・得意なこと」「自分の弱みや地雷」「チームメンバーへの期待」を相互に開示し合うことで、お互いの人となりを知る。
効果
相手の強みやむしろ弱みを知ることで、強みにフォーカスできる。弱みには眼をつぶることで、相手を許せるようになる。結果、無駄なもやもやが発生しない。
もや指数(中)
状況
ある程度の期間、チーム活動をしてきた中で相手の嫌なところが目に付き始める。
その時の感情
なんか自分ばっかり苦労しているよな。全然人の気持ちがわかってくれないなぁ。はぁ。
課題
日頃たまったもやを吐き出す機会がない。
手法
もやもや会
もやもやすることを付箋に可視化し、もや度高から低まで主観でプロットする。そのうえで、もや度が高いものからもやの理由や、もやが生まれた背景を共有し、解決策が必要なものはもやアクションに落とし込む。
効果
もやを共有することで、相互にずれていた期待値のギャップが可視化される。また必要なものは、もやアクションに落とし込むことで、もや再発防止策が決まる。
もや指数(高)
状況
あきらかに関係性が悪化しており、チームがギクシャクしている。飲み会をやれば不平不満が出てくる。
その時の感情
不信感。無感情(一周回ってなんとも思わない)
課題
当事者同士では関係性の改善が困難。
手法
はらわり会
「会に対する期待」「終わったときにどうなっていたら成功と言えるか」「一番の組織課題は何か」を事前に個別ヒアリングし、ゴールイメージを持った上で共通のテーマを設定する。テーマに沿ってもやもやを全部吐き出し、もやを共通認識にする。ポイントはムリに改善しようとしない。
効果
関係性の再構築に向けた一歩目を踏み出すことができる。負の感情をいったんゼロまでリセットできる。
いかがでしたでしょうか。もや指数に応じて解消するための手法も異なるということですね。ざっくりいいますと、関係性がマイナスの状態から0に戻すのと、0をさらにプラスに高めるのは大きく違います。
いずれにしても、もやを解消するにはファシリテーターの存在が重要です。当事者だけでは見えないもやの要因に迫り、対話を通じて中和するのが役割です。このような取り組みは組織開発の一つといえますが、チームの力を最大化するためにとても重要だと考えています。
そもそも、このような「もや」がたまらないためにも日頃から関係性の質を高めることが大切です。そのために、次回はオズビジョンが大事にしている「ありのまーま」についてお話したいと思います。